「雨漏れさせない」だけじゃない屋根の構造
オーナー様の親御様宅で雨漏れが発生し、点検をご依頼いただきましたので、ドローンを使って点検してまいりました。
※弊社施工建物ではありません
築年数は40年程度経っている建物ですが、東日本大震災のダメージが残っているようです。
今の瓦は一枚一枚を釘打ちで下地に固定していますが、それでは交換修理がしにくいという事で、
以前は釘で止めずに引っかけているだけの工法が当たり前でした。
それが地震の揺れや台風の風圧などで瓦がずれるきっかけになります。
ここで話は変わりますが、屋根材の話しです
下の写真をご覧ください。
東日本大震災の際、ボランティアで伺ったお宅の屋根下地の写真です。
この状態で瓦がずれたり落ちたりしたら雨は大量に屋根から入ってきてしまいますよね。
写っている板を野地板(のじいた)と呼びます。
隙間が空いているのは欠陥ではなく、屋根材の下部に空気が流れやすくし板が腐る事を防ぐ為なのですが、
問題なのは野地板上部でボロボロになっている紙です。
ルーフィングと呼ばれる防水シートで、昔の材料は耐久性が無くご覧のようにボロボロになっている事が
殆どです。
じゃあ、現代の工法はどうなっているか?というと
写真 瓦の施工と桟木、アスファルトルーフィング
写真 ガルバリウム鋼板板金屋根とアスファルトルーフィング
ルーフィングはゴムアスファルト製で非常に破れに強く、桟木(さんぎ)を止めるために打たれた釘にもしっかりと
強い粘りで密着するので、釘穴廻りからの漏水が起こりにくく出来ています。
極端な話しですが、もしこの工法で瓦が割れてしまったとしても、しばらくは漏水は起きません。
(但し、瓦が無いと下地に使っている桟木が雨でぬれて腐ってしまう原因になりますのでなるべく早急に修理をすべきです)
また、以前は板を何枚も隙間を開けながら設置した部分も、現在は合板に代わり、温度や湿度で収縮を起こさないように
なっています。
しかし、屋根の下に溜まる湿気にも配慮が必要で、小屋裏は常に通風が取れるように換気されていないと
今度は合板が腐ってしまいます。
(すまい倶楽部では設計時に小屋裏の換気量を計算し、必要な通風換気が出来るように一件一件設計しています。)
上の写真で、瓦の下地ルーフィングと板金屋根の下地ルーフィングが違う事にお気づきかと思います。
現在弊社で使用している瓦用のルーフィングはボツボツのイボがついています。
これは、この上に止める桟木が密着しすぎて、台風等の強風で、どうしてもわずかに吹き込む水が桟木とルーフィングの間を
抜けられるようにするものです。
※板金屋根の場合は、桟木が無いのでイボイボのルーフィングを使う必要はありません。
板金でイボイボのルーフィングを使うと、上に荷重をかけたときに板金屋根がイボでボコボコになってしまいます。
こうすることで何十年経っても建物が劣化しにくい工夫が現代の家にはされているわけです。
もう一つだけ、屋根工事の失敗例をご覧ください。
なんだかわかりますか?
そう、スレート瓦・平板瓦の合わせ目に大量に苔が生えています。
スレート瓦は軽くて地震に強いので震災後施工する方が増えました、しかし、スレートの欠点は塗装が劣化しやすく、早いもので10年程度で
塗装をする方が多くいらっしゃいます。
塗装劣化の速度が問題ではなく、その際の塗装方法に問題がある事が多いです。
上の写真は、塗装をする際に、スレート間の隙間を確保せずにベタっと一色で塗装してしまった為、通気が妨げられ
わずかな隙間から水分がゆっくり抜けた為、苔が発生しているのです。
この状態で、スレートをはがしたらきっと下地は腐っていると予想されます。
塗装屋さんはあくまで、大工でも屋根屋でもありません。
本来は、塗装をする前に、スレート間にスペーサーを入れて、通気を確保しながら塗装しなくてはいけないわけです。
「縁切り、タスペーサー」で検索してみると詳しく出ています。
いかがでしたでしょうか?
私達すまい倶楽部は、不動産業も建売も、商品開発も、自社で行いますが、もとは一級建築士が作った工務店です。
偏った知識で経験が少なければ、長持ちする建物は作れません。
しかし、住宅は新築から何十年もお付き合いする耐久性が必要なのです。
雨、風、太陽の紫外線、雪、地震などの災害。
沢山の過酷な条件でも末永く安心して住めるすまいを、新築でご提案しております。
スタッフも、職人もすべて経験の長い職人と、その職人にしっかり修行させられた若い職人を
揃えて、お客様の資産をお預かりしております。
しっかり作ってながーく快適に暮らせる建物を建てましょう!
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